BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第24話感想

 機能停止したウルトロイドゼロからヨウコを救出したハルキの前に突如現れ、トゲトゲ星人ことジャグラス・ジャグラーとしての正体を現したヘビクラ隊長。激しく動揺するハルキに対して、「昔、戦争を止めるために大きな樹を切ったが、自分の正義を否定された」という話をするジャグラー。私は未見ですが、オーブサーガの時のことをやっぱりひきずってたんですね。そういう正義面してる連中に、その正義の危うさを味わわせるためにウルトロイドゼロを奪いに来た…というところまでは大体予想していた通りでしたが、そこから具体的に何をどうするつもりかまでは語られませんでしたね。ウルトロイドゼロを使って光の国に殴り込みをかけたりよその星を襲ったりとかは、オーブの頃ならいざ知らず、今のジャグラーがそんなことをするとは思いませんし。そもそもウルトロイドゼロが証明しているのはウルトラマンの正義の危うさではなく、人類の愚かさや未熟さだと思うのですが。結局、ゼットとジャグラーが変身したゼッパンドン、さらにはセレブロが変身したファイブキングの三つ巴の戦いに突入し、ジャグラーが有利に戦いを進めたものの、変身解除したハルキをセレブロに人質にとられるかたちになり、口とは裏腹に見捨てることができず敗れるジャグラー。「またやっちまった」。全くその通りですが、どれだけ闇のトリックスターを演じようが結局関わった人を見捨てることができないこの人間臭さが、多くの人にジャグラーが愛される理由なんですよね。

 

 ジャグラーを倒したセレブロは倒れたハルキからベリアルメダルを奪い返し、さらには長官からヨウコの体に乗り移って、ついに最終段階の行動を開始。今までさんざっぱらジャグラーに利用されてきたセレブロですが、その本質は行く先々の星で怪獣に対する人々の恐怖を煽り、防衛用の兵器を開発させては自ら生み出した兵器の暴走で自滅へと追い込む、「文明自滅ゲーム」と呼ぶ悪趣味極まりない行為を楽しむ外道だったとは。同じ悪趣味でも、本人なりの思想のために悪辣な行為を繰り返してきたトレギアと違って、完全にただの楽しみのためにやってる愉快犯な分、こいつの方が悪質かもしれません。まぁ目くそ鼻くそですけど。セレブロに操られたウルトロイドゼロは、防衛軍が怪獣の細胞サンプルを保管している保管庫を襲撃し、たくさんの怪獣の細胞を強奪。バコさんの運転する車に乗っていたハルキはその知らせを聞いて飛び出しますが、ハルキがゼットであることを察して「行ってこい」とだけ言って送り出すバコさんがかっこよかったです。ウルトラマンガイアの終盤、我夢がガイアであることを以前から知っていながら何も聞かなかった理由を問われた石室コマンダーが、「理由など、いるか」とだけ答えた時と同じ、大人の男のかっこよさを感じました。

 

 セレブロの魔の手はかつてハルキが命がけで守ったレッドキングにまで及び、哀れ親が生きながら吸収されることに。さらにウルトロイドゼロが卵にまで手を伸ばしたとき、間一髪ゼットが乱入。そこでセレブロは奪った怪獣の細胞から生み出したメダルを全て使い、ウルトロイドゼロは異形の怪獣・デストルドスへと変貌。タイラントやファイブキングと同じ合体怪獣ではありますが、まるで怪獣の死体を継ぎ接ぎしたような不気味さがありますね。特に右肩からレッドキングの頭がそのまま生えている(さらに背面を見ると背中から尻尾にかけてがまるまるレッドキングそのもの)のが、直前に吸収したがゆえに「未消化」のような状態になっているのがエグいです。序盤は卵を守らなければならず、さらにデルタライズクローにも変身できないという不利な状況の中、とりあえず卵を隠してアルファエッジからベータスマッシュ、ガンマフューチャーと変身しながら戦うものの、デストルドスの中にヨウコがいるため迂闊に手が出せないゼット。ついにはD4レイとゼスティウム光線の撃ち合いとなり、押し切られたD4レイがゼットを直撃! ゼットと出会った時と同じ無意識の中で、このままではハルキの命も危ないとゼットから切り離されるハルキ。言うまでもなくこのシーンは、「ウルトラマン」最終回でゼットンに倒されたウルトラマンの前にゾフィーが現れた時のオマージュ。名シーンの再現の上深刻な場面のはずなのに、「ウルトラさみしい気持ちでいっぱいでございます」って、最後まで締まらないなぁゼットは…。

 

 やがて目を覚ましたハルキの前に、ユカやバコさんを始め元ストレイジの仲間とともに現れたジャグラー。ハルキにストレイジの制服を渡しながら「俺たちの基地を取り戻しに行くぞ」と告げるその顔は、ジャグラス・ジャグラーではなく隊長、ヘビクラ・ショウタの顔でした。次回、ウルトラ最終回!