BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーギーツ 第29話感想

 誕生日を迎えた祢音。その日は彼女にとって喜ばしい日であると同時に、誘拐事件の起きた苦い思い出もある日だった。そこに再びジャマト側がゲームを仕掛けてくるが…。

 

 前々から不穏な要素がにおわされてきた祢音の過去ですが、今回ついにその全貌が明らかに。なんと、祢音の父・光聖の娘であった「あかり」はあの誘拐事件の際に犯人によって殺されており、光聖はデザグラへの支援と引き換えに「私が理想とする娘・祢音が生きている世界」という願いをニラムに叶えてもらい、その結果創世の女神によって創られた人間が「祢音」だった…。衝撃的な真相でしたが、当然気になるのは、創世の女神に願えば娘を生き返らせることも、娘が殺されたという事実をなかったことにすることも可能であったはずなのに、なぜ光聖はわざわざ別の「理想の娘」を願ったのかということですね。事件現場に花を手向けていたことから、たとえ絶望的なことであっても娘の死をなかったことにはできないという気持ちはうかがえますが、一方でどうせ新しい娘を創ってもらうならばより自分にとって理想的な娘を…という「欲」が働いたとも取れますし、どういった思惑であんなことを願ったのかが明らかになるのは、今後を待たないとならないでしょうね。それにしても、何も知らなかった祢音を偽者だのライダーの資格はないだのと罵るオーディエンスたちの理不尽なこと。要は祢音が自分たちと同じ作り物の存在であることに勝手に幻滅したというだけでしょうに、こいつらどんだけ自分たちのことが嫌いなんでしょうか。

 

 一方、そんな残酷な事実を面白半分に明かしたベロバに対しての、英寿のブチギレぶりがすごかったですね。これまで自分がピンチになった時でさえ感情的な怒りを見せることはなかった英寿ですが、母親との再会のために転生を繰り返しながら長い間孤独な戦いを続けてきた英寿にとっては、親子の事情を土足で踏みにじるようなこの非道に対して怒りを露にするのは当然でしょう。叫びをあげることもなく淡々と、だが容赦なく、拳に全ての怒りを込めてジャマトを粉砕していく姿には、鬼気迫るものがありました。これ、ベロバは今までは英寿にとってはせいぜいクリアすべきボスキャラぐらいの認識だったのが、今回の件で明白に倒さねばならない敵として認識されてしまったのでは…。