BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンブレーザー 第22話感想

 怪獣による損害保険を扱う保険会社で働くしがないサラリーマン、テツオ。人生の目標も仕事への熱意もなく空しい日々を送っていたが、夫に先立たれ一人暮らしを送る親切な女性・ミチコとの出会いから自分の人生を見つめ直していく。そんな中、レッドキングとギガスの2体の怪獣が出現。ミチコを助けるため、テツオは走り出す…。

 

 基本的には私たちが暮らすこの世界と同じ、しかしそこには怪獣がいる…というのが多くのウルトラシリーズの作品の世界であるわけですが、この怪獣という異分子の存在は、それが存在する世界に我々の世界とは異なるどのような変化をもたらすのか…ということを考えるのは、怪獣ファンにとって一つの楽しみ方であります。中でも、怪獣を地震や台風と同じ災害としてとらえるのなら、それによって生じる被害への補償を行う保険があるのではないか…というのは、そういった怪獣の存在する世界を想像して思い浮かぶものとしては割とポピュラーなものだと思いますが、今回はウルトラマンでそれを真面目にやってしまおうという話でしたね。しかしいざこうして実際に描かれてみると、怪獣というのは災害としては被害が大きすぎて(短時間で収まる地震やいずれは去っていく台風や津波と違って、退治されるか本来の住処に帰っていくかするまでは歩くだけで被害が発生し続ける)、果たしてこれは営利企業が扱う保険の保険の範疇として、ちゃんと会社に利益が出るのかどうか、どうも怪しく見えましたね。怪獣の歩行による振動で倒れた花瓶まで補償って、そんなことしてたら金がいくらあっても足りないぞ…。

 

 今回登場するのは、第一作「ウルトラマン」の「怪彗星ツイフォン」に登場したレッドキングとギガスのコンビ。冒頭雪山でウルトラファイトのようなコミカルなノリで2体が戦った結果、案の定レッドキングがギガスに勝利。その後、街に現れたレッドキングとギガスに対して、ブレーザーとアースガロンがタッグマッチで挑むかたちとなり、プロレス色の強い戦闘や子分にしたギガスをアゴで使うレッドキングと、クライマックスのバトルもコミカルなものとなりました。口から吐く冷凍光線でブレーザーとアースガロンを氷漬けにして身動きを封じたギガスでしたが、ブレーザーがファードランを召喚して炎で氷を溶かしアースガロンともども復活。チルソファードランサーを闘牛士のマントのように操って(ほんとに応用が利くなぁ…)ギガスを翻弄した末に、レッドキングともどもアースガロンのアースファイヤーとの同時必殺技で撃破するのでした。

 

 この戦闘の渦中、ユミコを背負い営業で培った土地勘を生かして無事安全な場所に避難して難を逃れたテツオ。その後、ユミコから知り合いを紹介してもらったことで営業成績を伸ばし、仕事にも張り合いを見出していったのでした。作品の本来の主人公ではなく、市井の一般人を主人公とした作品は、ダイナの「少年宇宙人」、コスモスの「雪の扉」、ギンガSの「ガンQの涙」のように傑作を生みだしてきましたが、今回も味わい深い作品となりましたね。