BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊 感想

 仮面ライダー大戦、さっそく見てまいりました。例によってネタバレを含みますので、ご注意を。

・総評:部分部分はよいけれど・・・
 まず総評としては、部分部分はよいけれど昭和ライダーの描き方がひどい、というのが一番正直なところですね。脚本の米村氏は以前スーパーヒーロー大戦Zでギャバンに「宇宙の平和を守るためなら地球を犠牲にするのも仕方ない」というギャバンなら絶対にしないであろう選択をさせて非常にがっかりさせられましたが(とある特撮同人誌で、実はあのギャバンはワームが化けたニセモノであとで本物のギャバンたちに倒されるというマンガがあって非常に納得しました)、今回は昭和ライダー、特に本郷が同じような扱いで、見ていて悲しくなりました。昭和ライダー平成ライダーも、戦いの中で家族を、恋人を、友人を、恩師を、仲間を失った悲しみを味わっているのは同じこと。自分たちもその悲しみを痛いほど知っている昭和ライダーが、死者への未練を抱える平成ライダーを「生ぬるい優しさ」などと詰ったり、「平和を守るためなら優しさを捨てる覚悟を持て」などと言ったりする姿は、たとえ物語の都合上でも見たくはありませんでした。おかげで、看板にしていた昭和ライダー平成ライダーの決着も、茶番にしか見えませんでした。

・10年後の巧、40年後の敬介
 このように根幹に関わるところはひどいのですが、一方で仮面ライダーファイズ・乾巧と仮面ライダーX・神敬介の交流を描くドラマは、ここだけ別の映画に見えるほど素晴らしい。半田健人氏が10年ぶり、速水亮氏が34年ぶりにそれぞれの役を演じるということで公開前から特に注目していましたが、両氏ともに10年後の巧、40年後の敬介を、それぞれの時を重ねた姿として見事に演じきっていました。むやみにヒーローや怪人がたくさん出てくる映画じゃなくて、こういう特定のキャラにスポットを当てた「その後」の物語をもっと見たいんだけどなぁ・・・。また、この映画ではTV版とは少し異なる最期を遂げたことになっている草加も回想シーンや亡霊となって巧の前に現れるシーンがあるのですが、その台詞回しといい村上幸平氏の演技といい、まさにThe・草加。ここだけ井上さんが脚本書いたんじゃないかと思うぐらい、当時ファイズを見ていた人ならその憎たらしさ、気持ち悪さに誰でもうれしくなってしまいます。亡霊草加の悪魔のささやきに案の定惑わされかける巧の目を覚まさせるのが、父と恋人姉妹を失った敬介とコヨミを失った晴人というのもいいチョイスです。

 以下、細かい感想やツッコミなど。

  • 光実、紘汰の前で斬月を「兄さん」って呼んではまずいんじゃ・・・。
  • 戒人、TVに輪をかけて散々な扱いだなぁ・・・。
  • 巧が訪れた食堂で、ファイズ第一話のシーンを再現してくれて思わずニヤリ。オートバジンの忠義ぶりも健在。
  • フィリップ不在の理由は不明ながらも、やっぱりかっこいいジョーカー。今回はついにブラック&RXとの対決も実現。
  • 演技だったのかもしれないけど、クライナーごときにデンライナーがやられるのは納得がいかない。
  • 関さん演じるバダン総統の声が、納谷さん生きてたの!?って思うぐらいの衝撃的激似ぶり。
  • 加藤清三さんの声ではないジャーク将軍を見て悲しくなる。
  • ものすごく久しぶりに登場したのになぜかジェネラルシャドウの部下として使われるマシーン大元帥
  • バダン怪人軍団の中にしれっといるビルゲニア。戦闘シーンではこれといった活躍なし。
  • 予想通りの登場の仕方をするZX・村雨良。実に30年ぶりの変身ですが、やっぱり菅田さんかっこいいなぁ・・・。衝撃集中爆弾もつかってほしかったです。
  • 最後の大ゲンカ前の1号の変身シーン、一瞬旧1号になってその上からマスクの色が新1号のメタリックグリーンになるのがめちゃくちゃかっこいい。
  • 相変わらず何をしたいのかよくわからない、その意味ではいつもどおりの安定の鳴滝。今回に関して言えば、単に平成ライダー昭和ライダーどっちが強いかをはっきりさせたかっただけなのかもしれないので、いつもよりかはわかりやすいですけど。

 まとめると、仮面ライダーファイズのファンにはおすすめ。それ以外の人、特に昭和ライダーは見ていたけど平成ライダーは見ていないという人にはおすすめできない、といったところでしょうか。