BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンX 第16話感想

 TVの改変期の特番として不動の人気を誇る警察密着24時。あれをウルトラシリーズの防衛チームでやったらどうなるか、という、ありそうでなかった意欲的な試みの回。

 Xioと隊員たちの紹介に始まり、宇宙人に女子大生が襲われる事件が発生。付近をパトロールするXioが怪しい男を職質すると、男はケムール人の正体を現して逃走。おなじみのケムール走りで逃げるケムール人を追いながら「そこの宇宙人、止まりなさい」という例のアナウンス。消去液という攻撃にも逃走にも使える強力な武器があるにもかかわらずなぜか使わず、結局大地とアスナによってケムール人は公務執行妨害で逮捕。日本の法律を宇宙人にも適用できるものなんでしょうか。その後、ケムール人は黙秘を続けていたものの神木隊長によるカツ丼の差し入れと故郷のおふくろさんの話というベッタベタなやり方で完オチ。あいつどうやってカツ丼を食ったんだとか、あいつのおふくろさんてどんなんだとか、いろいろ気になりますが続く事件へ。

 ケムール人の自供と彼の持っていた縮小光線銃から、女子大生を誘拐して人間標本にする宇宙人犯罪組織の存在が判明。そのアジトに踏み込んだXioは、主犯であるダダとセミ女を逮捕。セミ人間に性別があったことも驚きですが、見た目がセミそっくりだからといってまさか樹液まで吸うとは思ってもみませんでした。ダークサンダーエナジーによって人類が滅びる前にかわいい女の子だけでも標本にしておきたかったという犯行動機を語るダダでしたが、もしかすると標本にした女性を宇宙に売りさばく女衒みたいな仕事をしてたんじゃないかと勘繰りたくなります。

 そのダダの話していたダークサンダーエナジーによって、今週も凶暴化した怪獣が出現。今回の怪獣は深海怪獣グビラ。深海に棲んでいるにも関わらずしっかりした四足を持ち鼻先のドリルで地中を掘り進むというよくわからない生態の怪獣ですが、自慢のドリルはかつて初代マンの八つ裂き光輪を引っかけて跳ね返すという芸を見せた、その見た目からは想像もつかない器用さを持つ武器。エックスもそのドリルを振り回すグビラには手を焼かされましたが、最後はビルの上に横倒しになったグビラをまな板の上の鯉のごとくエクスラッガーで切り裂き、ザナディウム光線でスパークドールズに。去り際にTVスタッフにコメントを求められ、「不愛想な宇宙人と思われたら困る」などと言いながらも大地に急かされ、そのまま去っていくのでした。視聴者の受けを気にするウルトラマンなんて前代未聞だ・・・。

 TV番組という設定もあり、いつも以上に映像の撮り方に工夫が見られた。警察24時でもおなじみのスタッフがもつハンディカムや車載カメラによる映像に加え、エックスとグビラとの戦いではTV局のお天気カメラや街の防犯カメラによる映像というかたちで、ウルトラマンと怪獣の戦いが日常化した世界の様子をより身近に感じられるかたちで演出。特にエックスがザナディウム光線を決める際の、走る電車の中からそれを見た映像はすばらしい。毎日電車で東京に通っていますが、窓から見えるビル街を見てそこを闊歩する怪獣の姿を空想したことが何度もあるので、あれはまさに私の見たかった映像でした。山本弘氏の「MMR」でも全く同じ設定の話がありましたが、案の定というか、Twitterで山本氏がMMRのドラマでもこのぐらいやってほしかったとぼやいていて笑いました。