BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン9話 感想

 喫茶どんぶらに見るからに調子の悪そうな様子で配達にやってきたタロウ。そんな中、ヒトツ鬼が現れるが、タロウがそんな調子なのでドンモモタロウが全く戦力にならない。陣に面会したはるかと真一は、それが数年に一度タロウが無力になる現象であり、元に戻すために必要な300個のきびだんごを作ることになるが…。

 

 前回のつよしの行動について誰か咎めるかどうか注目していたのですが、結局誰も咎めませんでしたね。まぁこの戦隊、現状メンバー同士が顔を合わせるのはほぼ戦闘の時だけだし、つよし=キジブラザーと知ってるのは今のところはタロウだけで、そのタロウも今回はそれどころじゃなかったから仕方ないんですけど。というわけで、この番組らしい思い切りの良さで、今回は謎の不調に襲われたタロウにのみ注力することに。数年に一度無力になるという設定が生えてくるのもいきなりだし、それを直す方法がきびだんごを300個食べさせること、しかも臼と杵でついたものじゃないとダメだし1個欠けてもダメという妙に厳密なものなのもツッコミどころ満載なのですが、そこを一切スピードを緩めずに展開させていく剛腕はさすがですね。無力になったタロウを見て今なら勝てるかも(思い浮かべた勝負は例によって相撲三番勝負)と情けないことを考えてしまう真一、こういう浮世離れしてるように見えて浮世離れしきれてないところが、いかにも井上キャラという感じがしますね。そして、きびだんごが肝心なところで1個足りなかったというアクシデントが発生しても、はるかの頑張りでそれを補い、タロウがドンロボタロウに変身してなんとかヒトツ鬼を撃破。井上敏樹という人は、過去に天井からいきなり落ちてきたり、宅配便で送られてきたりといった、ものすごく雑な強化アイテムの登場のさせ方をした人なので、きびだんご食ってパワーアップというのはこの人にしてはまぁマシな方ですが…(真魚ちゃんの弁当を貪り食ってアギトバーニングフォームになった翔一に近い)。それにしても、子供の頃誰も遊んでくれなかったという老人の心残りがヒトツ鬼を生み出すとは。これすら「欲望」と呼んでしまうのは、あまりにも酷だと思うのですが…。

 

 一方その頃、ドンブラザーズのあずかり知らぬところでは、以前警察鬼から元に戻してもらった刑事が参加していたバスツアーの一行が、トンネルを抜けたところで一人残らず忽然と消失するという怪事件が…。同じ頃、謎のビジョンを見て「獣人が来る…!」とおびえるソノイ。ま、まさかもう第三勢力が…!?

仮面ライダーリバイス 第33話 感想

 さくらとアギレラ、決着編。バイスの久々の脳内ダイブで、ラブコフがさくらの脳内ではしゃべれたり一人称が「あたい」なのが判明したりと面白かったですけど、さくらとアギレラの決着自体は、二人で一緒に遊園地で遊んだ後、互いの思いのたけをぶつけあって戦うことに。アギレラが死ぬことも覚悟はしていましたけど、たとえアギレラ本人が生きることを望んでいなくても生かしたい、居場所がないなら自分がその居場所になってやる、というところまで含めてのさくらの覚悟には納得がいきましたね。一輝もそうでしたけど、この作品における仮面ライダーというのは、エゴイストであること、エゴを貫き通すことなのでしょうか。そしてアギレラから「花」へと戻った彼女は、さくらとともにウィークエンドへ。まぁ彼女なりにさくらに報いたいと考えた結論なんでしょうけど、悪の組織の幹部がまた別の組織のメンバーになるというのは、まだまだ平穏な日々とは遠いですね。それにしても、あくまで敵はフェニックスだとはいえ、悪の組織の元幹部まで迎え入れるって、ウィークエンドって懐の広い組織ですね…。

 

 そのフェニックスでは、いよいよ赤石長官が自らの正体を隠すつもりもなくなってやりたい放題はじめてますね。唐突に風林火山になぞらえた攻撃で大二をボコボコにしたのはシュールでしたけど。ここまで隠す気ゼロだと、この人もうフェニックスの長官なんて肩書きなくてもいいんじゃないかと思うんですけど。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン8話 感想

 タロウとソノイ、翼とソノニが初邂逅。こういう、ヒーローと怪人が互いに敵同士であることを知らぬまま出会い、シンパシーを感じ合ったり惹かれ合ったりする展開を見ると、いよいよもって井上脚本だなぁという感じがしますね。ビル火災の現場でソノイがタロウとともに逃げ遅れた人を救助するシーンは、改めて脳人は単なる侵略者ではないということを印象付けました。しかし、「人の欲望はいずれ世界を滅ぼす」というソノイの言葉に対し、「そうかもしれないな…」と否定どころか同調しているようにも聞こえる反応を見せたタロウ、やはり本来は脳人側の存在なのか…。

 

 …と、それはもちろん重要なことだったのですが、結局ヒトツ鬼戦でつよしのとった行動に全てを持っていかれました。前回の次回予告の時点では、現時点で最大の爆弾と目されていた翼とつよし、夏美とみほの関係について早くも爆発させにかかるのかと戦々恐々としていたのですが、全く違うところからさらなる爆発を起こすとは、やはり井上敏樹という人は恐ろしい人です。他のメンバーと比べると明らかに「普通の人」「一般人」であるつよしが、自分にとって唯一の特別な存在であるみほを思うがあまり、間接的な殺人と言える行為に手を染めるとは。直接的に人に害をなすことには躊躇を覚えるけれど、間接的に人に害をなすことには時に無自覚に手を染める。そういう感覚が、完全な善人でもなければ完全な悪人でもない「普通」の人がいかにもやりそうなことで、その嫌なリアリティに鳥肌が立ちましたよ。これは、普通の人がある日突然超常的な力を手に入れたら、その力をどう使うかという命題に対する一つの答えであり、こういうのはマーベルやDCのヒーローでは珍しくないものの、日本のヒーローではあまり描かれてこなかったものですね。やはり井上敏樹という人は、昔から変わらず、ヒーローを描くことよりも人間を描くことに関心があるのだということを改めて思いました。そしてここで気になるのは、これまでの井上作品では、直接であれ間接であれ、個人的な殺意をもって殺人を犯した者には、(それがファイズの木場や結花のように同情の余地のあるものだったとしても)その行いにふさわしい結末が待っているという不文律が適用されてきたことで、つよしもそれは例外でないとしたら、彼にはどんな結末が待っているかと恐ろしくなりますね…。

 

 あと、つよしにばかり目が行きがちですけど、みほの方もいきなり変質者に拉致され絵のモデルをさせられるという異常な状況に放り込まれながら、言葉巧みに相手の髪を切ってやると持ち掛け、その切った髪をロープ代わりに後ろ手に縛り、その隙に逃げるという、なかなか普通の一般女性には難しそうなことを落ち着いてやってのけたのが、こちらも気になりますね。もちろん、単に肝が据わってるだけという可能性もあるのですが…そういえば、仮面ライダーウィザードのソラ…ファントムになる前から快楽殺人鬼だったあいつも、元はみほと同じ美容師だったな…。

仮面ライダーリバイス 第32話 感想

 さくらとアギレラ。長らく因縁の関係にあったこの2人ですが、いよいよそこにも決着の時が訪れるのか。まぁデッドマンズという組織が消滅してしまった今、もはやこのドラマにおいてアギレラにいまだ何か役割が残されているかと言えば、とてもそうは思えないというのが正直なところで、赤石長官の「もはや君の妹(さくら)に付きまとうだけの存在」という評もあながち間違いではないように思えます。そうなるとあとはもういかに幕引きをするかという話にしかなりませんが、フリオ(玉置)みたいに悪魔と分離して普通の人間としての生活を送らせるというのも彼女らしくはないので、最初は一輝にそれを頼んでいたさくらも最終的には「やっぱり私がやらなきゃ」と覚悟を決めたのは、やはりそうでなければと安心しました。あとはその決着がどのようなものになり、アギレラがさくらに、ひいてはこの物語に何を残すかですが、それは次回を待たなければなりませんね。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン7話 感想

 はるかの通う高校には、学外の人を講師に招いて人生を学ぶという特別授業がある。マンガのネタのためにこの授業を受けていたはるかだったが、講師として真一、さらにはタロウが現れ…。

 

 最近だんだんわかってきましたが、この番組、スーパー戦隊なのにメンバー同士が互いに誰かも知らないまま戦っているという型破りにも程がある番組なので、毎回メンバー同士をどうやって同じ場所に集めて、そこで何をさせるか?というところにこだわっているフシがありますね。だから一人が立てこもり事件を起こして他のメンバーがそこに集まってくるとか、今回みたいに妙な特別授業があってそこに先生としてメンバーがやってくるとか、他の戦隊では見られないようなシチュエーションが発生するわけで、これは時に強引な手を使ってでも登場人物同士を出会わせるのを辞さない井上敏樹のやり口とも非常に相性がいい。まぁ強引は強引なんですが、井上氏にとって重要なのはどうやって同じ場所に集めるかではなく、集めたところで何をさせるのかなので、実際集まったところから繰り広げられる内容のインパクトの濃さに、視聴者は集めるために使った手段の強引さなどは忘れてしまうわけです。今回インパクトありましたね。エアざるそば食い始めたり、椅子を破壊したり。前から思ってましたけど、真一は食べ物や着る物は人からもらうのでどうにかできたとしても、納税とかどうしてもお金そのものが必要なことはどうしてるんでしょうか。それにしてもはるかの学校、はるかを「トウサク」というあだ名で呼んだり(れっきとした言葉によるいじめ…というより名誉棄損)、空手部員が瓦代わりに椅子を破壊したり、生徒のモラルが80年代の熱血教師物ドラマに出てくる荒れた学校より低いんじゃないでしょうか。こんな学校では、規律にうるさい校長ぐらいいてもらわないと、むしろ困るのでは…。

 

 それにしてもタロウ、生徒たちの魂を封じ込めた紙を人質にとって燃やそうとする敵に対して、「紙が燃え尽きる前に倒せばいい」という理屈で構わず攻撃するって、やっぱり無茶苦茶ですねこいつ。こういうの、ジュウオウジャーの大和先生みたいに優しくて命の大切さに一際敏感なタイプのレッドが見たら激怒しそう…。

仮面ライダーリバイス 第31話 感想

 ラフレシアデッドマンの吐く毒を吸った影響で、幻想の中をさまよう一輝とバイスラフレシアデッドマンを操っているのはジーコではないかと大二は疑うが…。

 

 かつてはプロサッカー選手に手が届くほどのところにもあったにも関わらず、家業の銭湯の手伝いに専念していた一輝。その事情については、なにしろ父親はまともに働かないわ、母親はそれを咎めるどころか全肯定するわ、とてもじゃないが頼りになるとは言い難い両親(まぁそこには深~い事情があったことはご存じのとおりですが)のせいで、本当はやむなくサッカーを諦めて家業を継いだのではないか、というような考察が視聴者の間でされていましたが、その真相がついに明らかに。それは、練習中に誤ってジーコに大怪我をさせて彼の夢を断つことになってしまい、代わりにその夢を託された重圧に耐えきれず、自分の夢も含めてサッカーから離れた、というものでした。いやはや、意外な真相でしたが、こうなってくると当初の考察とはだいぶ違ってきますね。まぁ最近は初期の頃と比べると、一輝が家族に対する苛立ちや家族との感覚のずれを見せることもほとんどなくなってきたわけですが…。

 

 で、そんな大事なことを忘れていた理由は、ずっと前から出てきていた「一輝の姿が家族写真から消える」現象とも密接に関わっていた。バイスとの契約の代償に、一輝は戦うほどに大事な記憶を失ってしまい、このままではやがては家族のことも忘れてしまうのではないか、と…。冷静に考えると一輝の記憶が消えるのと写真から一輝が消えることのあいだに何の因果があるのかはわからないのですが(一輝の記憶だけでなく一輝の存在に関するあらゆる情報がこの世から消えていくとかならわかるのですが)、まさかゼロノスとは完全に逆のパターンだったとは。ただ、同じように戦っているはずの大二やさくらには同じ現象が起こっている様子はないので、これはバイスとの契約のみで起こる事態なのか。まだまだ謎は深そうですね…。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン6話 感想

 タロウ以外のメンバーに与えられる謎のポイント、ヒトツ鬼を消そうとする謎の敵・脳人の目的と、わからないことだらけのまま進んできたこの物語にも、ようやくある程度の設定が明らかになってきた回。まぁ井上敏樹という人は、こういう設定よりも登場人物がどんな人間かを描くのに力を入れる人なので、ここまでの話で主役5人の人となりはある程度見せることはできたので、ようやく設定に触れてきた、というところですかね。むしろここまでちゃんと設定を説明してくれることの方が、井上脚本としては珍しいような。

 

 まずは謎のポイント。正確にはキビポイントというようですが、今のところわかっているのは、タロウ以外のメンバーに与えられていることと、それを使うことによってどんな願いもかなえることができ、なんなら脱退することだって可能、ということ。脱退も可能って、いよいよ「そんなのほんとにスーパー戦隊か?」と首をかしげたくなりますね。ただ、何をしたらこのポイントが加算されるのか、その条件は今のところ不明。で、それを管理している「管理人」がこっちの介人らしい、と。どうもこの手の「どんな願いもかなえられる」というのは、ニチアサで出てきた場合は詐欺の匂いがプンプンしますね。まして、この作品の脚本書いてるのは小林靖子氏とともに龍騎を書いてた人なんですから…。今回のつよしの得意の絶頂からどん底へという顛末なんて、笑うせぇるすまんでも見てるんじゃないかと思うぐらいでした。奇しくもつい数日前に藤子A先生の訃報を聞いたばかりですし。

 

 そして、脳人。人間より高次の世界の住人である彼らの世界は、人間の放つ波動により支えられているが、その波動は欲望によって乱される。ゆえにソノイ、ソノニ、ソノザは、欲望を求めヒトツ鬼となった人間を消し去ろうとしている、と。敵の目的が単なる侵略や殺戮ではなく、敵の側にも自分たちを守るための論理があるというのも、これまた井上脚本らしいですね。ヒトツ鬼を消し去るのみならず、人間に息を吹きかけることによって額に小さなドアが現れ、強い欲望を持っている人間はそのドアが開いてヒトツ鬼の影が姿を現す、という描写もありましたが、あれは単に将来的にヒトツ鬼になる人間を見分けることができるというだけなのか、それとも、あれによってヒトツ鬼となるトリガーを引いているのか。しかしまぁ、欲望なんてものは人間なら誰だって持ってるんですから、事実上彼らの仕事にはきりがないんですが、そこまでわかってやってるんでしょうかね。それにしても、「恋愛」がわからないソノニ、「笑い」がわからないソノザと、「幸福」がわからないタロウ…なんかタロウも脳人と関わりがありそうですね。