BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

魔進戦隊キラメイジャー エピソード34 感想

 ヨドンアイビーが発芽を目前に迎え、小夜は連絡不能。邪面獣3体が種を守っている上、オラディンはアタマルドに乗りこんだガルザと交戦中で呼び出すことができない。そんな八方ふさがりの状況の中、それぞれが自らの役割を果たし懸命に活路を見出そうとするキラメイジャーを描く回。監督は前回に続き田口監督でしたが、ニュージェネウルトラマンで培ったバトル演出のノウハウを遺憾なく発揮していましたね。画面手前の等身大戦と画面奥でのロボと邪面獣との戦いを同時進行で見せるのは、劇場版ウルトラマンXで見せた手法。ロボ軍団とジョーキー+邪面獣軍団が4対4でがっぷり組み合うのを下からのアングルで映していくのは、劇場版ウルトラマンオーブで見せた手法。このようにウルトラマンで培った手法を見せたうえで、ジェットストリームアタックをかけてくる邪面獣に対抗するロボ軍団、巨大化させたゴーアローを戦隊伝統の必殺バズーカのように使ってヨドンアイビーの種を撃破するという戦隊らしさを取り入れた流れにつなげていくのは見事なお手並みでした。

 

 絶体絶命の状況を打破する突破口となったのは例によって充瑠のひらめきでしたが、今回のはさすがに予想できずに驚きました。しかし、「クリスタリア人は魂を自由に別の石へと移すことができる」「キラメイストーンは自由に大きさを変えることができる」という事実はちゃんとこれまでの話の中で描かれてきたもので、条件としては充瑠も視聴者も同じところに立っていたわけですから、そこからあんな手を思いつくことができた充瑠はやっぱりすごいと素直に感心できます。もちろんオラディン王が最後に分析した通り、充瑠以外のメンバーもそれぞれに与えられた持ち場で自らの持ち味を生かして最大限に頑張ったからこその勝利でした。しかしまぁオラディン王も、敗因分析もろくにできない愚弟に代わってあまりにも的確な勝因の分析を行ってしまうあたり、容赦がないというかなんというか。もちろんオラディン王に悪気はないし、単に彼は優秀な人間として優秀な仕事を当たり前にしただけなんですが、そういうところがあの愚弟をどんどんダメな方向へとこじらせていく原因なんですよね。ひらめきと想像力において、充瑠とガルザの間にはまさに雲泥と言える歴然とした差があることが改めてはっきりと描かれてしまいましたし、今のところガルザがどれだけ頭を捻ろうが充瑠とオラディン王に勝てるビジョンが浮かびません。今のところガルザがあの2人に勝っているところがあるとすれば、グレイトフルフェニックスの足に掴まってでも追いすがってきたあのド根性ぐらいしか見当たらないのですが…。