BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーセイバー 第26章 感想

 せっかく最近はようやく腰をすえて目の前の問題を一つ一つ解決していく方向性へと向かいつつあると思ったのに、闇落ちした賢人の出現によってまたごちゃごちゃしてきましたね。今回はセイバーが始まって以来、新しい事実がたくさん明らかになりました。

 

 まず、闇黒剣の使い手となって戻ってきた賢人。飛羽真たちを攻撃する理由についてはもう少し引っ張るのかと思いましたが、意外と早めに明らかにしてくれましたね。要するに、いくつもの可能性の未来を見たけれど、どうあがいても最終的には飛羽真たちが全滅し、全知全能の書が現れて世界が消滅してしまう。それを回避するために、全知全能の書復活のキーである聖剣を全て封印すると。気持ちはわかりますけど、一体どれだけの数のパターンの未来を見ての決断なんでしょうね。ドクター・ストレンジは「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で、サノスに勝つことができるたった一つの未来を見つけるために1400万605通りもの未来を見るという荒行をやってのけましたけど、どう見てもストレンジほどメンタルが強くはない賢人がそんなにたくさんの未来を見たとは思えないので、間違いなく彼が見てない未来の中に滅びを回避できる未来が存在するはずなんですが。

 

 そして闇黒剣が他の聖剣を封印できるという話から続いて明らかになったのが、古くから続くこの戦いのそもそもの起こりの話。かつて一人の女性が現実世界とワンダーワールドをつなげ、5人の人間がワンダーワールドに降り立った。そのうち3人が全知全能の書を悪用しようとしてなったのがメギドの三馬鹿であり、残る二人はそれぞれが現実世界とワンダーワールドを守る役目を担い、二つの世界の均衡を維持するという約束を交わした。現実世界を守るためにソードオブロゴスを組織したのが初代マスターロゴス、そしてワンダーワールドに残ったのがタッセル…。話だけ聞けば意外と大物だったんだなあいつら、というのが率直な感想ですが、三馬鹿についてはそんな昔からいるのにいまだに低レベルないがみ合いをしながら前進してるかどうかもよくわからない一貫性に欠ける企みを繰り返してるだけ。タッセルに至っては基本的にワンダーワールドで一人で気ままに過ごしてて、時々やってきたユーリの相手をしたり、現実世界に出てきたと思ったらただ見てるだけだったり、そもそものことの起こりに関わってる重要人物のはずなのに、普段の振る舞いからは全然そんなすごさが感じられないのがひどい。マスターロゴスについても、なぜかタッセルやメギドと違ってこの人だけは普通の寿命しかなかったらしく、タッセルと約束を交わした初代マスターロゴスは既に個人であり、今のマスターロゴスは何代目かの後継。しかもその当代のマスターロゴスが、初代の約束を反故にして全知全能の書で世界を作り変え支配者になるという、メギドと変わらぬことを言い出す始末。要するにこの戦い、すごい本を巡って数人の人間が争ったばかりにダラダラ続いてるものであり、警察とヤクザで言ったら警察の方もトップが腐っているという仁義なき戦いみたいなどうしようもないものなんでしょう。こんなしょうもない戦いに巻き込まれて一般人に人的被害が出ているのですから、例年の仮面ライダー以上にやるせないですね。

 

 ここに至ってふと思ったのですが、聖剣、ワンダーワイドブック、全知全能の書、ソードオブロゴス、ワンダーワールド、そのいずれもが不和と騒乱の種になっているだけで、今のところそれらの存在は現実世界に何のメリットももたらしていないのではないでしょうか(まぁそれを言ったらガイアメモリとかオーメダルとかだって同じですが)。ヒューマギアですら存在しないより存在するメリットの方がはるかに大きかったのに。そう考えると、聖剣を封印して全てを終わらせようという賢人のやり方が、一番手っ取り早くて合理的なのでは…。