BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ゴジラVSコング 感想

 モンスターバース最新作、ゴジラとコング、日米を代表する大怪獣がついに激突する「ゴジラVSコング」を見てまいりました。

 

 前作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、ドハティ監督のゴジラに対する愛が爆発どころか行き過ぎてゴジラを讃える一種の宗教映画の様相を呈しており、これにはゴジラ愛に自信のある日本のファンもいい意味で呆気にとられ、ラストシーンではほかの怪獣たちと同様にゴジラにひれ伏してました。それに比べると本作「ゴジラVSコング」は、怪獣が好きな少年がそのまま大人になって、ハリウッドの資本を使って子供のころに見た怪獣映画のノリをそのまま再現して見せた、という趣がありますね。難しい話は抜きにして、とにかく巨大な怪獣同士の迫力あるぶつかり合いを楽しもう、という単純なコンセプトが明快で、これまでのモンスターバースの中では最も昭和のゴジラガメラに近い、怪獣映画らしい怪獣映画と言っていいでしょう。そんなわけで、KOMの時点でだいぶ割愛されていた人間の出番はさらに割愛され、もはや全てがゴジラとコングの激突を成立させるためのお膳立てと化しています。モンスターバースがこの先もこういう路線で続いていったなら、最終的には人間が全く登場しないウルトラファイトみたいなことになるでしょう。

 

 いわばゴジラとコングのW主演映画と言える本作ですが、前作でゴジラが主役だったこともあってか、物語上のウェイトで言えば今回は少しコング寄りですね。今作では手話でコングと意思疎通できる少女が登場し、この少女との交流の中でゴジラに求めるのは難しい喜怒哀楽の豊かな表情を見せて、戦闘以外でも見事に自らの持ち味を生かした演技を見せています。物語前半の流れは「キングコングの逆襲」を彷彿とさせますが、もし監督がこれを参考にしていたのなら、「キングコング対ゴジラ」だけではない日本のコング映画への愛に敬意を表したいですね。一方のゴジラは、前作でギドラを倒して名実ともに「怪獣王」の座に就いたことを改めて実感させる、堂々たる貫禄。地球上で自らと比肩しうる最後の怪獣となったコングの前にたちはだかる姿は、まさにタイトル防衛を賭けたチャンピオン。この両者が海上の空母や香港のビル街をリングに文字通りのプロレスを繰り広げるのですから、面白くないわけがありません。そしてゴジラの格もコングの格も全く落とすことなく、「キングコング対ゴジラ」ではつかなかった決着をきっちり見せてくれるのですから、監督の手腕は素晴らしいものです。この戦いとその決着は、是非ともご自身の目で見届けていただきたいものです。ゴジラ勝つか? コング勝つか? 世紀の大決斗!