BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンデッカー 第20話感想

 かつては海辺の漁村だったワダツミシティで、建設作業員が正体不明の怪物に襲われる事件が続発。調査に赴いたイチカとカイザキ副隊長は、そこで村の言い伝えに詳しい老婆から「らごんさま」なる存在について聞かされるが…。

 

 ウルトラQの「海底原人ラゴン」で初登場後、ウルトラマンでは巨大化した姿で登場し、その後長い間音沙汰のなかったものの、ギンガでの登場を皮切りにニュージェネ以降のウルトラシリーズでは出番が増えるようになったという変遷をたどってきたラゴン。今回はかつて海辺の漁村だった街にラゴンが現れるという、原典であるウルトラQの「海底原人ラゴン」を彷彿とさせる背景を下敷きに、異界から来る「マレビト」の一種としてラゴンを描くという、諸星大二郎の「闇の客人」を彷彿とさせ伝奇的な描き方をしていて、ラゴンという怪獣をまた新しく見せるこういう手があったのだなと驚きました。こういう物語の本筋とは関係のない、一話で完結しているSF短編のような話こそがウルトラシリーズに多様性と奥深さを与えてきたのであり、今回はそれを久しぶりに味わえたような気持ちになりました。かつてのような4クールの制作体制であれば、こういう話をもっとたくさん見ることができるのでしょうけれどね…。