BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします! 感想

 劇場版ウルトラマンオーブ、公開から一週間遅れで見てまいりました。例によってネタバレを含みますので、未見の方はご注意を。

 ハワイ諸島の某島にて繰り広げられる、オーブオリジンとギャラクトロンの戦いから映画はスタート。相変わらず強いギャラクトロンの前にオーブがピンチになったところで、突如ゼロが救援に現れたことで形勢は逆転。戦闘中、ギャラクトロンは物を宝石に変えてしまう光線を使っており、同じような力を持つ怪獣が次元を超えて何者かに送り込まれていることをオーブに伝え、再び捜査のため去っていくゼロ。一方日本では、SSPのメンバーのところにエクスデバイザーとともにウルトラマンエックスが訪れ、行方不明となった大地を捜すのを手伝ってほしいと依頼してくるのだが・・・。

 地球全体を宝石にしてしまおうとする宇宙の魔女ムルナウの陰謀に、再会したガイとSSPのメンバーが大地やエックスも加えて挑む物語・・・なんですが、どうにも力の入れ所を間違えてないか?と首をかしげたくなるような、妙なところで面白い映画ですね。理由の一つはご存じ、ジャグラー。今回はムスナウの潜む洋館を訪れたガイの前に、彼女の執事として登場。TV最終回ではナオミを救い、マガタノオロチを倒すため自らを犠牲にしてガイにチャンスを作ってあげたのはご存じのとおりですが、本編でそれまでにやってきたことがやってきたことだけに、再会したガイやナオミには全く信用されていないのが笑えます(まぁ今回ガイたちに手を貸したのも、ルナムウが手に入れていたダークリングを取り戻すのが目的だったのですが)。首尾よくダークリングを取り戻した後、ゼッパンドンに変身し怪獣軍団に苦戦するオーブを「お前を倒すのはこの俺だ」というベタなセリフとともに助けに入るのですが、このときに「ゼットンさん、パンドンさん、闇の力お借りします!」と例のアレをやっていて「ああ、やりたかったんだな」と実にほほえましい気分になりました(そしてそのあとすぐやられる)。事件が解決した後、ジェッタとシンとともに銭湯につかるガイより先に風呂に入っていて「先に上がってるぜ」と言って出ていくのが最後の出番。本当に、生まれついてのエンターテイナーです。

 もう一つは、ムルナウの怪獣・宇宙人軍団の中でも異彩を放つガピヤ星人サデス。かつてオーブに倒され、ムルナウによって半機械化されてよみがえったという設定の宇宙人ですが、そんなことはどうでもよく、明らかに松岡修造がモデルとしか思えない無闇にポジティブなキャラが異常に印象に残ります。おまけにこいつを演じるのが山寺宏一さん。ビバリーヒルズコップの頃あたりのエディ・マーフィーの吹き替えを彷彿とさせるやたらとテンションの高い演技で、こういうキャラを演じているのは久しぶりのように感じました。ジャグラーとサデスのキャラが強烈すぎて、ゲストキャラであるはずの大地の存在が霞んでしまっているのがなんだか気の毒でした。

 そして忘れてならないのは、ウルトラセブン、モロボシダンの登場。ガイの風来坊キャラは、セブンの第一話で謎の風来坊として登場したダンが、もしもウルトラ警備隊に入らなかったら?というところから発生したものであるわけですが、今回の映画でついに新旧の風来坊の対面が実現。正直のところ、登場の仕方としては何の脈絡もないのですが、ピンチに陥ったオーブの前に突如現れ「ご覧のとおり、風来坊さ」というセブン第一話のセリフとともにセブンに変身するシーンは、そんなことがどうでもよくなるぐらいファンの心理を突いていました。その後も夕暮れの街を舞台に、セブンらしい力強いファイトを展開。最近のやたらと派手なウルトラマンには負けていないぞといわんばかりの圧巻の実力を見せつけてくれました。

 という具合に、力の入れ所が妙なところや、笑いに走りすぎなところもありましたが、実にオーブらしい映画でした。映画の終わりには、「FIGHT GOES ON」の文字が。そう、4月からは「ウルトラファイトオーブ」が始まるのです。