BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンブレーザー 第1話感想

 怪獣災害が頻発する地球。宇宙から飛来し夜の池袋で暴れまわる怪獣バザンガに対し、ヒルマ ゲント率いる特殊部隊が投入される。だが、バザンガの猛威の前に部隊が絶体絶命の危機に立たされた時、ゲントの腕にブレーザーブレスが現れ、その導きのもとに彼はウルトラマンブレーザーに変身する…!

 

 今年も始まった新たなウルトラシリーズ。先に第1話を見ての端的な感想を言わせてもらうなら、「これはどえらいものが始まってしまったぞ」という驚きに尽きますね。のっけから夜の街で怪獣が暴れ回り、主人公率いる特殊部隊がそこへ空中降下するというシーンから始まりますが、「池袋」という具体的な現実の地名が出てくるのが珍しく(東京や大阪というざっくりとした都市名より細かいレベルでの現実の地名が出てくるのは極めて稀)、特殊部隊が降下用の装備として使う背中と両腕に装着して使うジェットパックも、現実に米軍などで実用試験が行われているものですし、平成ガメラシリーズやシン・ゴジラのようなリアリティ路線の強さを感じさせました。上空を飛ぶ戦闘機に航空支援を要請してバザンガをこちらに誘導させる、というのも作戦行動としてとてもリアルでしたね。

 

 そして、人類の攻撃も力及ばず猛威が止まらない怪獣に対して、いよいよウルトラマンブレーザーの登場となるわけですが…いきなりゲントの腕にブレーザーブレスが現れて、何が起こっているかもわからないまま強制的に変身させられたのには驚きました。まぁいきなり初変身させられること自体はこれまでにもたくさんありましたけど、光の国のウルトラマンみたいな事情説明は一切なし。そしてそれに驚く間もなく、続くブレーザーの戦いぶりにさらに驚かされることに。威嚇するかのように終始怪獣に対して咆哮を発し続ける! 猿のようにビルによじ登る! これまでのウルトラマンのような武術として体系化されたものとは異なる洗練されていないファイトスタイル! 変身直後にはまるでウォークライのように己を鼓舞するような動きを見せていましたし、光の槍を投射するという必殺技も相まって、まるでアフリカや南太平洋の島々の先住民の戦士、あるいは太古の原野で野獣と組み合いながら狩りを行っていた我々の先祖のような野性味を感じます。ウルトラマンらしく明確に人類を守る意思や行動は見せつつも、劇中の人物ばかりか長年のファンですら見たことのない「未知の巨人」としての異様さを刻み込む、鮮烈すぎるデビューでした。

 

 トリガーやデッカーが比較的オーソドックスなラインだっただけに、大きくウルトラマンとしての型を破ってくるこの第1話は衝撃的でしたね。思うに、シン・ウルトラマン庵野監督や樋口監督らウルトラマンを見せて育った世代のクリエイターがウルトラマンという存在の本質ともいうべきものをあの映画で描いて見せたうえで、それに対して本家である円谷プロが「誰も見たことのないウルトラマン」というかたちで「答え」を返してきたように見えました。果たしてこの円谷プロの挑戦は、どんな未知のものを我々に見せてくれるのか。例年以上にワクワクしています。