BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーギーツ 第49話感想

 黒いツムリに乗り移られ操られたツムリによって撃たれた英寿。さらに景和らの殲滅に乗り出すスエルに対し、景和、祢音、道長はなおも諦めずに抵抗するが…。

 

 スエルとの最終決戦。リバイスではラスボスと思われていたギフが半端なところで倒されてしまったのでどうも終盤の展開がまとまりのないものになってしまいましたが、ギーツの場合は詳しい素性は最後まで不明だったものの運営の総元締めには違いないスエルというれっきとしたラスボスが存在したおかげで、最終決戦にふさわしい戦いになりました。タイクーン、ナーゴ、バッファのレギュラー3人にもちゃんと見せ場がありましたし。オーディンやクロノスと同じくデスゲームの主催者ライダーらしく時間操作の能力を使ってチートじみた戦いをするスエルでしたが、命を落とすことまで計算に入れてついに「神様」にまでなったギーツには通用せず、最後は堂々たるライダーキックによって倒されました。まぁ、主人公が人の身を捨てて世界を救うのはライダーではこれで3度目なので、神様になるのはそう驚きではなかったのですが…。

 

 そして神様となった英寿によって、ついに彼が目指していた「誰もが幸せになれる世界」へと、世界は作り替えられた。英寿の存在した記憶は景和たちからは忘れ去られ、彼の存在を記憶しているのはツムリやジーンだけ。女神の子として生まれた白い狐のライダーが、最終的には神様となって神社に祀られるというのは、なんとも日本的じゃないですか。人々は彼が祀られた神社に思い思いの願いを込めた絵馬を奉納していきますが、道長の願いは「うまい肉を食う」。デザグラがなくなって「全てのライダーをぶっ潰す力」を願う必要がなくなった結果の願いがこんなささやかで愛らしいものだったとは、最後まで株を上げましたね。そして途中まであれだけ悪役ムーブをしながらも、最終的には人間とジャマトの共存を目指して進み出した大智。間違いなくお前はこの作品で一番自由な奴だったよ…。ただ、人間の願いというのは時にぶつかり合うものであり、誰かの願いがまた別の誰かの願いとは相反するという状況はままあるのですが、そういった問題に対してどう折り合いをつけて「誰もが幸せになれる世界」を実現するのか、そこのところに明確な答えは示されませんでしたね。

 

 さて、今年も一年最後まで見届けました。スタート前、ライダーたちの生き残りゲームと聞いた時には正直似たような作品がいくつもあるけどかぶらないか?と心配していましたが、前半はライダー同士が直接戦うのではなくゲームで競うというかたちをとり、途中からは運営やオーディエンス、サポーターが登場し世界をおもちゃにする運営から取り返す戦いへとシフトしていく、というかたちでこれまでのライダーバトル系の作品とは見事に差別化を果たしていましたね。まだ4作とはいえ、令和ライダーの中では個人的にはゼロワンに次ぐ満足度でした。来週からは次なるライダー、ガッチャードがスタート。また1年間見届けるとしましょう。