BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンブレーザー 第15話感想

 ゲントの息子ジュンは、変わり者のクラスメイト・アラタに半ば強引に彼の「秘密基地」に連れていかれる。怪獣の絵を描くことに夢中なアラタに影響されジュンも怪獣の絵を描き、その怪獣は「ガヴァドン」と名付けられた。その夜、空から降り注いだ未知の宇宙線がアラタの描いたガヴァドンの絵に降り注ぎ…。

 

 カナン星人、ガラモンと、過去作から再登場する怪獣、宇宙人のチョイスが渋すぎるブレーザーですが、今回はなんとガヴァドンが再登場。厳密にはいわゆるガヴァドンAのみの登場ですが、愛嬌ある見た目と寝てばかりというのんきなキャラクターでもともとファンの間で人気はあったとはいえ、第一作「ウルトラマン」以来50年以上登場しなかった怪獣が再登場とは驚きですね。ストーリーは子供が描いた怪獣の落書きに宇宙から未知の宇宙線が降り注いで怪獣を実体化させ、大喜びの子供たちはさらに怪獣を大きく描き直すが…という、ガヴァドンの初登場回である「恐怖の宇宙線」と大筋は同じですが、ガヴァドンガヴァドンBには描き直されずAのまま大きくなり、もともと絵の怪獣であることから、同じく紙に描かれた果物の絵を吸い込んで食べるという二次元生物らしい新たな生態が描かれました。

 

 巨大化しても寝てばかり、しかしそのイビキで周辺住民は大迷惑であり、防衛隊が退治に乗り出すのも「恐怖の宇宙線」と同じですが、爆弾を投下されてもボヨンボヨンと弾き返す驚異のモチモチボディぶりが面白いです。「晴れた日に干した布団の匂いがする」らしいので、さぞかし抱き枕として寝心地は最高なんでしょう。爆撃に巻き込まれそうになったジュンたちを助けるべくゲント隊長がブレーザーに変身して彼らを助け、今度は彼がガヴァドンと対決しますが、ここでもモチモチボディに阻まれ格闘が通用せず悪戦苦闘のブレーザー。スパイラルバレードまで出して、「まさか、この可愛い怪獣を串刺しにする気か!?」と視聴者が危惧しますが、なんとそれを地面に突き立てるとガヴァドンの上からUFOキャッチャーのアームのように変化したスパイラルバレードが下りてきてガヴァドンをキャッチ…持ち上げるも、失敗して落下。その後もブレーザーの悪戦苦闘は続き、とうとう夕方になってしまいますが、そのあいだずっとジュンたちからやめろやめろと罵声を浴びるという、マン兄さんと同じ羽目になるブレーザー。ただ、自分たちがガヴァドンを大きくしてしまったせいでこんなことになってしまったことをジュンたちが自覚して反省しているのが、ただ無邪気に怪獣を応援していた「恐怖の宇宙線」のムシバ少年たちとは異なるところですね。最後はこれまた「恐怖の宇宙線」と同じく、ブレーザーによってガヴァドンは宇宙に運ばれ星座になるのでしたが、あちらでは七夕の夜には会えるというウルトラマンの言葉に対しムシバ少年が「雨が降ったらどうなるんだよ」と文句を言うシニカルなオチでしたが、今回はガヴァドンが星座になり夜空を見上げればいつでもガヴァドンを思い出すことができるようになって、アメリカに引っ越すことになっているアラタ兄妹とジュンがいつでもつながりをもてるようになった…という、美しいジュブナイルとしてまとまった一本になりましたね。