BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーギーツ 第2話感想

 ツムリから渡されたデザイアドライバーとIDコアを手にし、自分が一度世界の崩壊に巻き込まれたことを思い出した景和。一度崩壊したはずの世界では、英寿が世界一の人気者のスーパースターになっていた。そしてドライバーを装着しIDコアをセットした景和は、神殿へと転送され、そこで新たなデザイアグランプリへの開催を告げられる…。

 

 前回は視聴者も何が起こっているのかよくわからないまま終わってしまいましたが、今回はストーリーの中核となるデザイアグランプリの概要が見えてきましたね。勝ち抜くことができれば誰でも自分の理想の世界を叶えることができるゲーム…龍騎ライダーバトルの例を引くまでもなく、そんなうまい話には裏があるに決まってますが、完全に詐欺だったライダーバトルと違って、英寿が既に願いを叶えている通り、願いが叶うというのは本当のようで。ただ、優勝者が決まってなお再びゲームを開くのはなぜなのか、そもそも主催者は何の目的でこんなゲームを開いているのか、というところは間違いなく裏があるでしょうし、英寿の本当の目的も願いを叶えることではなくその裏を暴くことにありそうですね。にしてもこのゲーム、いきなり最初から変身できない状態で怪人からアイテムを奪うことを求められ、それができなければ次のステージに行く前に脱落、次のステージではボス敵と戦い負ければ死って、初見プレイヤーにはハードすぎやしませんかね。

 

 主人公の英寿のキャラもわかってきましたね。「恵まれない子供のために」というウソ話で(お人よしが過ぎる)景和からアイテムを巻き上げてボスを倒す一方、消滅してしまった参加者の息子の手術費用を人知れず寄付する。なるほど、確かに狐のライダーに相応しい。嘘をつくのがうまい人間は嘘に本当の話を織り交ぜるものですが、英寿の「恵まれない子供のために」というのも、そんな嘘に混ぜられた真実だった、ということですか。容易に他人に本心を見せようとしないのは天道や士を彷彿とさせますが、果たして彼はこのデザイアグランプリをどう引っ掻き回してくれるのか。

ウルトラマンデッカー 第9話感想

 街をパトロールしていたカナタは、一人の少女から声をかけられる。カナタがデッカーであることを知っているうえに、バラされたくなければ自分の父親と勝負してほしいと要求する少女。彼女の父は宇宙最強の格闘チャンピオン・グレースだと言うのだが…。

 

 ダイナ本編にも登場し、侵略目的ではなく純粋にダイナとの勝負を求めてやってきた宇宙人として印象的だったグレゴール人が、デッカーにも登場。ダイナに登場したグレゴール人は、まずデモンストレーションとしてニセダイナに変身して自らが用意した怪獣と戦い、ダイナとの戦いではダイナに声援を送る人々に苛立ってビームで攻撃し、その声援によって奮起したダイナに敗北を喫して、その強さの秘密は多くの仲間たちがいることにあると理解し、潔く敗北を認め宇宙へと去っていく、というキャラクターでした。これに対して今回のグレースは、ウルトラマン(本来の目当てはデッカーではなくトリガーでしたが)との対戦で名を挙げるためにやってきたというところまでは同じですが、脅して試合を強制するようなやり方をしてはダメだと娘に諭す、突如現れたレッドキングから街を守るために変身して戦い、街の人々から声援を送られる、GUTS-SELECTのチームワークを見て対戦相手に相応しいと考え試合を申し込む、試合中に乱入してきたスフィアレッドキングを倒すためにGUTS-SELECTに勝ちを譲り、スフィアレッドキングを羽交い絞めにして自分諸共撃てと訴える…と、侵略者ではないが自分本位な言動の目立ったダイナのグレゴール人と比べると、強さだけでなく品格も兼ね備えた、宇宙の格闘チャンピオンに相応しい風格をもった人物として描かれていましたね。スーツの傷み具合から見て、おそらくスーツはダイナのグレゴール人そのものと思われますが、それもまた、長年の無理が祟って体に限界が近づきつつある引退間近のレスラー、という今回のキャラクターに説得力を与えていましたね。ダイナとの戦いで格闘家としての真の強さの何たるかを学んだグレゴール人が、ウルトラマンとのリベンジマッチのために再びやってきた。見ようによってはそんな風にも受け止められるような回でした。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン27話 感想

 採石場で一対一でにらみ合い、相対するタロウとソノイから始まった今回の話。互いに宿敵と認めあう二人の、決闘の時がついに訪れたのだ。さすがに前回が前回だっただけに、今回はシリアスなノリで行くのか…と思わせておいて、そこは暴太郎戦隊ドンブラザーズ。当然そんなわけはなく、例によってツッコミどころ満載の展開に…。

 

 まず、そもそもソノイが決闘を挑むシーンが、ドンブラ一同がプールで楽しんでる中、プールに飛び込んだタロウの目の前にいつもの服のままで現れ決闘を挑むというもの。いや君、早く決闘を挑みたいのはわかるが、せめて陸上で話をしなさい。決闘の意思を伝え、一張羅がびっちょびちょの状態で何事もなかったような顔をして去っていくのもシュール。その後の特訓のシーンを見てもわかる通り、ソノイ当人は大真面目なつもりなんでしょうけど。そんなソノイに対し、タロウの方もある意味いつも通りのマイペースで、決闘のその日も仕事をしていて、しびれを切らしてやってきたソノイがまたもや仕事を手伝う羽目に。

 

 そんなこんなで、ようやく始まる決闘。対峙するなりタロウはソノイが相打ち覚悟のつもりであることを見抜き、迂闊に動けず膠着状態に。そこに現れる空気の読めないジロウと、いつも通り突如乱入してくるムラサメ、そして忍者おじさん改め魔法使いおじさん…いや、ジロウとムラサメはわかる、けど最後のお前はほんとになんなんだ。さらに獣人の集団まで乱入し、二人の決闘を邪魔させまいとはせ参じたお供たちとソノニ、ソノザも加わって大乱戦に。仲間たちのアシストを受けてその場を脱した二人は、改めて決闘のやり直しへ。ここで獣人がかつてドン家が人間の代わりとなる脳人のエネルギー源として開発した失敗作であることが明らかになりましたが、相変わらず思わぬところで物語が進みましたね。どっちが勝っても後腐れがないようにしよう、という意気込みを「食べ終わった果実の種を捨てるように」と例えるも、「それだと後からまた実がなる」とタロウに言われ「履きつぶした靴を捨てるように」と言い直し、「前のたとえの方がよかった…」と内心後悔するソノイ。こんなときまでなにをやってるんだ君は。そして、決闘は一瞬で決着。一刀のもとにソノイは倒れ、先にソノイが言っていた通り、一切の未練も残さぬように立ち去るタロウ。しかし、残されたソノイの体をふらりと現れたムラサメが抱え上げ、どこかへと持ち去っていく…。

仮面ライダーギーツ 第1話感想

 今年も新たなライダーの第1話の放送を迎えたわけですが…ゼロワンもセイバーもリバイスも、初回ではかなり丁寧に世界観を描いていましたが、今回はそれよりも次々に事態を展開させて理解よりも早く衝撃を与える方向に舵を切った作りになっていたように見受けられましたね。今度のライダーは生き残りバトルと聞いてはいましたけど、あっさりシローが退場したり、リバイスでポコポコライダーを量産したところからさらに開き直って、ポコポコライダーを量産してポコポコ減らしていく方向でいくんでしょうね。今後の展開によっては、平成ライダーがなんでもありなものになって以降久しく語られなかった「これは仮面ライダーなのか?」という議論がまた再燃しかねないようにも思えましたが、また1年見守っていくこととしましょう。

ウルトラマンデッカー 第8話感想

 スフィア合成獣として蘇ったメガロゾーアの中に、カルミラもいた。その衝撃も冷めやらぬ中、ルルイエそっくりの姿をした植物が花粉をまき散らし、人々を夢の世界にいざない始める。ケンゴ、そしてユナも加わりGUTS-SELECT総出での駆除作戦が始まるが、その最中、再びスフィアメガロゾーアが出現し…。

 

 最後まで見ると結局ルルイエそっくりのヤバい植物ギジェランは登場の必要あったのかと思いましたけど、カルミラが救済されるというまさかの展開で全てを持っていきましたね。トリガーの最終回で光の暖かさを感じながら消えていったので、それで救済されたと思っていましたが、さらに先があったとは。まぁ彼女はトリガーでの行いを考えればまるっきり無罪というわけでもないので賛否両論はあるとは思いますけど、もともとメガロゾーアは倒すためには光と闇の力が必要だけれど、トリガーダークがいない現状ではトリガートゥルースにはなれないため、その代わりとなる闇の力を担う存在としてカルミラが必要だった、というのはちゃんと理にかなっていましたね。ダーゴンとヒュドラムも魂みたいな状態で存在していることを確認。ダーゴンの復活は大歓迎ですけど、ヒュドラムは到底許されるべき存在ではないので、ブラックホールかどこかにポイしちゃってほしいのですが。トリガーの次の番組を使ってまでカルミラを復活させたからには、今後ギャラクシーファイトとかでちゃんと活躍の機会を与えてほしいものですが。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン26話 感想

 冒頭のいつものあらすじ…かと思ったら、そこに映し出されたのはほんの少し前に見たばかりのリバイスの最終回。それを見た介人は、「リバイスも最終回を迎えたことだし、ドンブラザーズも終わりにしよう。その前にMVPを決めよう」と、いつも以上に頭のいかれたような発言。要は総集編をやろうという話ですが、それを仮面ライダーの最終回にかこつけてやろうとするような無法がありますか。こっちは20年間毎年仮面ライダーの最終回を見続けてきましたけど、最終回を見たからって私も何かを終わりにしようなんて思ったこと、一度だってありませんよ。まぁ総集編は総集編なんですが、そもそもこの期に及んでイヌがいまだに一人だけ孤立状態にあるのにどうやってMVP決定戦に加わらせるんだと思ったら、ソノニが一人語りで推薦してきたりして、そういうところはうまいことやるんですよねえ。で、結局MVPは介人。そんなことだろうと思ってましたけど、その根拠としてドンブラザーズは半年しか戦っていないけど自分はもっと長い間戦っていると言って、ゼンカイジャーの映像持ち出してくるのは反則でしょう。あっちの介人とあんたが同一人物とは到底思えない…どころか、性懲りもなく写真集第二弾出してくるって、こんな自己顕示欲丸出しの人があっちの介人と同一人物なわけないのですが。

仮面ライダーリバイス 最終回 感想

 ついにやってきた最終回。どうなるものかと思っていましたが、物語の締めくくりとしては納得のいく話でしたね。最終回で繰り広げられる最後の戦いが、まさか子供同士のじゃれ合いのようなものになるとは。しかし、バイスが一輝にとっての「実在するイマジナリーフレンド」のような存在であることを考えれば、それとの別れの儀式として「思いっきり遊ぶ」というのは至極当然のように思えましたね。ただ、一輝がバイスのことまで忘れれば、契約は完了となり失っていた家族の記憶も思い出すというこの契約、バイスにとって何のメリットがあったのかは最後までわかりませんでしたが。都合よくバイスを復活させることもなく、しかし、すき焼きを食べた時のリアクションから、バイスは一輝の中で生きているということを示すことで終わらせたのも、よい落としどころだったと思いました。にしても、第一話で示しただけの「一輝はキングカズのファン」という設定を、ここへ来て唐突に再び出してくるどころか、キングカズ本人を呼びますかね。確かにこの人が「夢に早いも遅いもない」と言ったら説得力がありすぎですけど。

 

 さて、シリーズ全体を通しての評価ですが、ゼロワンやセイバーと同様、リバイスも電王やWやエグゼイドのように、シリーズ全体を通して傑作とは呼び難いものでしたね。あえて言うなら、初速はよかったものの後になっていくにつれテーマ性もテンポも失われていったと言わざるを得ません。特に最初のデッドマンズを相手に戦っていた頃は、家庭に何らかの問題を抱えた人間が次々に怪人となって現れ、それを迎え撃つ一輝も一見家業に専念しているように見えても何か両親に対する蟠りを持っているように見えたり、バイスもストレートに「家族ってそんなに大事?」と疑問をぶつけてきたりと、明らかに家族という共同体に対する疑問を提示したものになっていて、これは高度経済成長期以降、現実における家庭崩壊がフィクションの世界にも流れ込んでいく中、家族神話の最期の聖域となった子供向け特撮ヒーロー番組にも、ついにその聖域にメスを入れる作品が現れたか、と期待したものです。しかし、デッドマンズの崩壊を待たずしてそうしたテーマ性は失われていき、五十嵐家は時々衝突を起こしながらも無難な仲良し一家として進み、悪魔らしい不穏な様子を見せていたバイスもどんどん愉快な相棒となっていき、ライダーの数ばかりがむやみに増えていく…と、「牙を抜かれた」と評すべき、焦点のぼやけた物語になっていきました。どうも私には、当初構想していた物語がなんらかの事情で頓挫して、立て直すこともできずそのままずるずると進んでいったようにしか思えないのですが、その辺の内部事情が明らかになるとすればこれからの話でしょう。ネットでよく「やろうとしていること、言わんとしていることはなんとなくはわかるけど、物語上でのそれらのつながりがはっきりとわかるかたちで見えていな」と言われていましたが、まさにそのとおりだと思います。仮面ライダーが現代ではほとんど類を見ない、一年間放送されるドラマであり、それを作っていくことが並々ならぬ困難を伴うことであることは承知しているつもりですが、令和ライダーになってから3作続けてこうした作品が続くと、最近明らかになってきた東映の製作体制の問題も併せて、一度シリーズの存続を含めて大きな見直しが求められているのではないか、とも思います。