BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週のウルトラマンジード 第12話感想

 ケイとの戦いの末、ゼロのカプセルを除く全てのウルトラカプセルを奪われたリク。奪取したウルトラカプセルを取り込みケイが変身したペダニウムゼットンが暴走する中、リクは天文台に届けられた置手紙の送り主に会いに行くことに・・・。

 かつて天文台で見つかった赤ん坊のリクの名付け親となった朝倉錘と出会うリク。彼を演じるのは実相寺作品をはじめ特撮作品でもおなじみの顔である大御所俳優、寺田農。父親という点では仮面ライダーWの園崎琉兵衛、ひょうひょうとした人柄はウルトラマンマックスでのメトロン星人と、これまでに寺田氏が演じてきた役の特徴が重なったような役ですね。PS4の鉄拳で遊びながらリクに大事な話をする場面はシュールでしたが、追ってくる怪獣から逃げるようにリクに必死に訴える姿はさすがの名演技でした。一方のリクも前回自分のアイデンティティを全て否定されるような真実の暴露を受けたにも関わらずそれほど絶望した様子は見せず、変身できないながらも必死に錘を守ろうとする姿が印象的でした。ケイやベリアルの最大の失敗は、このように能力だけでなく精神性までウルトラマンとなるにふさわしい成年へとリクが成長してしまったことですね。

 リクと錘、互いが互いを守ろうとする心がそうさせたか、錘に宿っていたリトルスターが彼から分離し、ウルトラの父のカプセルとして顕現。ただ一つ残されたゼロのカプセルと使うことによって、ジードは新たなる姿、マグニフィセントへと変身。全てのウルトラ兄弟の「父」たるウルトラの父と、セブンの「息子」であるゼロの力をフュージョンさせた姿というのは、父であるベリアルとの間の宿命を乗り越えていくジードにふさわしい力ですね。リクの全てを否定する言葉を吐きながら襲い来るケイを、逆に空っぽの存在だと看破し下すリク。リクにはジードとしてではなく、「朝倉リク」という一人の人間としての彼を慕い、助けてくれる仲間が周囲にいる。唯一忠誠を捧げるベリアルにすら「ストルム星人」という種族名で呼ばれ一人の人間としては扱われないケイが彼に敵うはずがなかった、ということでしょうね。