BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

SSSS.GRIDMAN 第10話感想

 夢の中に裕太たちを取り込もうとする目論見も失敗に終わり、いよいよやけっぱちというか、ただでさえやばかったメンタルのタガが外れて別の意味でやばい方向へと暴走し始めるアカネ。怪獣作りへの創作意欲もなくして明らかに雑な作りの怪獣を出したかと思ったら、グリッドマンに倒された後その中から別の怪獣が出現。次々にベノラの首を斬り落とし、フルパワーグリッドマンさえ一方的に追い込む凶暴さを発揮。狂った笑い声のような鳴き声と気色悪いグネグネした動きはグリーザ、獣性をむき出しにした攻撃はジャンナインの頭をもぎ取ろうとしたウルトラマンギンガのダークザギを彷彿とさせますね。アカネ曰く怪獣は人の心など持たないということですが、これまで作ってきた怪獣はグリッドマンを倒そうとか邪魔な人間を殺そうとかいうアカネの意思が介在していたので、そういうのがどうでもよくなった結果作りだされたあの怪獣こそ、アカネにとっての怪獣らしい怪獣ということでしょうか。

 グリッドマンがピンチに陥ったその時、助けに入ったのはなんとアンチ。「俺はお前を倒すために生まれお前を倒すために生きている! お前を倒すために俺はお前と共に戦う!」という、矛盾してはいますがかっこいいセリフとともに、なんとその姿はグリッドマンに酷似したものに変化。その名はグリッドナイト! いや、まさか特撮版でボツになったグリッドナイトの設定(カーンデジファーの力で武史がカーンナイトに変身し、さらに改心してグリッドナイトとなる)が、こんなところで生かされるとは思ってもみませんでした。つくづくこのスタッフは、特撮版の設定を思いもよらないかたちで拾ってきて生かすのがうまいですね。ヒーローを倒すためにヒーローとともに戦うという決意はギンガの友也と全く同じですし、悪によって生み出された存在がヒーローになるというのもジードを彷彿とさせますし、ウルトラシリーズへのリスペクトも感じられますね。

 そして、ラストのアカネによる掟破りの衝撃の展開もさることながら、この期に及んでもアレクシスの目的がさっぱりわかりませんね。アカネに「本当の人間は寝たりしない」と明らかにおかしなことを言ってましたが、彼の言う「本当の人間」とは一体何なんでしょうか。また、街の修復と再構築の要であるベノラたちが次々に始末されていても全く慌てる様子を見せませんでしたし、この街に対してあまり関心があるようには見えませんが、だとしたら何のためにアカネの手助けをしているのか。